アル厨の在宅ワークと育児の記録

外資系企業サラリーマンの在宅ワーク期間中の備忘録(たまにNTRにハマる友人について触れるのでエロく乱れます)

7月2日(木) 快晴

 一昨日の大雨に続き、昨日は「何ですかお前は。台風ですか?」とでも言いたくなるような風の強い日だった。
 昨年の調度この日から1カ月間、在宅ワークで上の子と二人で過ごす日々を開始した。下の子の出産を控えた妻が臨月まで入院を余儀無くされたことによるもので、自宅で仕事をしながらの家事育児を課されたこの期間を自らワンオペパタニティライフと称し、これまでナンパネタやエロネタばかりを呟いていたTwitterで日々のログであったり、noteで音声日記を配信していたりしていた。
 他の育メンアカウントとの繋がりを微かに期待しての試みであったのだが、何のこともなくその様なフォロワーは一向に増えず、微増するのはナンパを趣向とするアカウントばかりで、SNSでのブランディングセンスの無さを痛感した。あるいは、専用のアカウントを作っての試みであれば少し与える印象は違ったのかも知れない。

 SNSでは自身をアイコン化することが出来る。言うなれば別の人格としてもしくは自身の一部の人格を切り出してアイコン化することが出来る。そこでは顔や素性を晒す必要性も無く、発する言葉のトーンや思考の流れで生態を表現することが出来る。
 Twitterを始めた当初の僕はナンパや出会いに関する話題であったり、男女の情事について、書き上げたナンパ小説の拡散を主としていた。当然ながら妻帯者の子持ちであることも公言せずとも成り立つため、素性を晒すのもツイキャスなどでついつい喋ってしまう形で段階的であった。
 そんなアカウントが急に育児について語り始めても当然響かないだろうとは思いつつも、目論見としてはこれまで行動の大半を股間の人格によって支配されていたヤリチンオトコが育児に翻弄される様を晒すのも面白いと思ったのだが思い切り滑ったというお話。

 入院が決まり俯く妻には「勤め先が在宅ワークなども制度として許容しているので、オレが子供の送り迎えや家事も含めて全部やってやるよ」と意気揚々としていたのだが、その日を迎えるまでに妻から断片的な必要事項の共有しかなく、日に日に恐怖を覚えて新品のノートにこれまでのノウハウを書き出してもらった。
 弁当が必要な曜日や作り方、洗濯の仕方、曜日によった幼稚園の時間割など、事前に聞かされないとやれるはずもないことが意外に多く最初の2日で音を上げそうになった。妻にとってそれらは、考えながらやっていることではなく、既に何年も前から日常の習慣と化していたことで、敢えて言葉で伝える必要性を感じていなかったのかも知れない。
 対して僕の方には、業務を通じて仕事を引き継ぐ時の必要なステップがいくつかあり、そういった基準や拠り所に沿って言語の違う海外の部隊へのオフショア活動などを頻繁に行っていた。ゼロから何かを担えるように習熟させていくためのフォローアップもそれなりに得意であったこともあり、仕事に例えると何という丸投げなのだと驚愕しつつも後には引き返せない。

 そういえば今週の初めに身に覚えのない荷物が届いたと思ったら、妻方の実家からスイカが丸ごと届いた。昨年のこの時期に受信したLINEメッセージの記憶が甦る。
「スイカが丸ごと届くから、四等分に切ってご近所に配りたいんだけど出来る?」
「切るってどうやって?丸ごと切れるの?ってかいつ?」
「適当に4つに!出来れば明日!」

 未だ不慣れであったリモートワークの傍らまな板よりも大きなスイカに包丁を入れるという行為は、Excelでデータを揃えたり、Power Pointでプレゼン用のスライドを作成するよりも僕にとっては大仕事だった。
 今月はこれらの日々を振り返ることが増えそうだ。